広大ではあるけれど、そこはかとなく写る電柱が日本ならでは。
序章 で述べたように、北海道に着いてすぐの足はタクシーでした。
乗せてくれたオジサンはバイクと釣りが好き(釣りは海がメインだそう)という事で、多くは書きませんけれど、とても色々な話を聞かせてくれました。
その中でも、摩周湖に放流されたザリガニ(ウチダザリガニという)の増殖と、それとともに摩周湖の透明度が失われているというお話が、印象に残りました。
また、「景色の良い所があるんだよ。観光地っぽい場所も見たいでしょ?」といって、料金メーターを止めて美幌峠にある道の駅に隣接した観光名所?へ案内してくれました。
そこから見えたのは屈斜路湖。真ん中の島は中島というそうです(そのまんまだろ)
ここでは、しきりにパラグライダーについて語っていましたが、パラグライダーもやるのかしら?
冬はスキーの良いポイントとも仰っていました。スキー場以外で滑るなんて、北海道ならではですね。
見たけど、かなりの急斜面で僕にはとても真似できそうにありません(笑)
正直、こっちに来てからかなりブルーな心境だったので、オジサンの暖かい心遣いがとても有難たかったのです。
2万円も支払う乗客だったからかもしれませんけれどね(笑)
写真まで撮ってもらっちゃったりして。デコ光杉。
落ち込んでいた気分もすっかり良くなって、楽しくおしゃべりをしながら、目的の「虹別オートキャンプ場」へ到着。
料金は思ったのより、ほんのちょっとだけ安くなりました。
おじさん、どうも有難うございました。
当初、こちらを中継地点として、2泊を過ごす予定でしたが、色々あったので今回こちらでは1泊のみ。
ショーバイに関わるので詳しく書きませんが、こちらでも厚いおもてなしで迎えてくれました。
いやほんとにマジ助かったんですよ。
早速、フリーサイトにテントを張ってコーヒーを淹れて一服。
タバコを吸わない人にとって、コーヒーなどの茶類は安息のアイテムですね。
MSRさん、カッコイイ写真撮ったので何かください(笑)
シワだらけだからだめですか(笑)
一息して行くのは勿論・・・。
アイヌ語で「魚が沢山いる川」 西別川。
最近は物騒な物で、釣りのブログで川の実名を出す事はあまり良い事では無いのですが、あえて実名を出させてもらいました。
それは、この川の状況を、いくらかの興味のある人だけでも知ってもらいたいから。
この日は丁度、台風18号の影響が長引いた笹濁りの状況でした。
川辺の草などから察して、一時的に1m以上増水した後、徐々に水が引き、平水よりも10~15cm程度の増水と思われました。
やや増水?の西別川 |
この西別川の水源は摩周湖に端を発し、豊富な地下水の流入によって形成されたチョークストリームです。
本来は梅花藻の群生地として知られ、水質が良く安定した河川状況から、道内でもサケの遡上量が多い事で知られているそうです。
しかし、近年、梅花藻の減少が著しく、かなりの上流部まで行かないと見られないのだとか。
事実、キャンプ場に隣接したこの場所では、梅花藻の群生地は皆無といって良いほどでした。
キャンプ場オーナーの話では、鹿の食害による梅花藻の減少を挙げていましたが、僕が見た所梅花藻の減少はそれだけが原因ではないように感じました。
何故かというと、この川は砂の流入が圧倒的に多いのです。
川に足を入れれば、底なし沼のように、脛のあたりまで足が沈んでゆくのです。
そして、まるで海辺の砂浜で足が波にさらわれるように、増水した水の流れが深く深くと足をさらってゆくのです。少しでも同じ場所に留まっていると、自分が川に沈んでゆくのが判ります。そして、下流に向かって煙のように渦巻きながら、粒子の細かい砂が舞い上がります。
ちょっと、身の危険を感じてしまうくらいに、フカフカの砂が川底を埋め尽くしていました。
長野県で見たアノ川も、山梨県で見たアノ川も、「圧倒的」な砂の流入により、淵が埋められ、瀬は削られ、川虫は呑まれ、珪藻類は光を失って死滅してしまっている、、、正に本州では多くの河川が直面している問題を、この辺境の地の、アイヌが「魚の沢山いる川」と名付けたこの場所でも見つけてしまったのです。
これは、僕にとって魚が釣れる、釣れないなどという事よりも遥かに大きなショックでした。
この、大量の砂の原因はハッキリとしています。この周辺に、開拓により作られた広大な農地が広がっているためです。
何百ヘクタールという農地の間に、ほんの少しの森林が残されており、その森林を縫うように、この西別川は流れているのです。
明治以降、北海道の開拓は国の政策としてすすめられてきました。
この辺の農地は牧草を育てている農家が多く(実際、地元の方に聞いた)広大な土地でその牧草を育てる為に、特殊な除草剤を多量に散布しているのです。
その除草剤は「牧草以外」の草を枯らし、牧草が効率的に広く収穫されるために必要不可欠な薬品として、このあたりの地域では考えられています。北海道で良く見られる、青々と茂ったグリーンガーデンは、その殆どが、牧草なのです。標茶町、中標津町では、町の根幹として支えられている産業です。
この、牧草地帯で散布された除草剤は「牧草以外」を枯らしながら地面に浸み込み、やがて地下水と一緒に川へと流入します。そして、川の中に生えている梅花藻を枯らしてしまう。
梅花藻が無くなれば、このようなチョークストリームは元々川床の石が少ないために、一度砂と土の流入がおきると、これを防ぐ事が出来ません。たまの大雨などで増水すると一気に砂が出てきます。一度溢れた砂は下流に生息する別の梅花藻や、カゲロウやカワゲラ等の昆虫を、雪崩のように呑み込みながら殺してしまいます。そして、それらを捕食する、食物連鎖の頂点に立つマス類なども殺してしまう。
一度砂が出てしまうと、これが戻るには途方も無い年月がかかってしまいます。
これら一連の流れは、山林にも通じるものがありますね。ブナ等の高価な広葉樹材を伐採するあまり、山が保水力を失って土砂災害が起きるのと同じ理屈です。
広葉樹の代わりに植えられたスギ材では同じ保水力を維持することが出来ず、土砂災害を止める事が出来ません。
また、冒頭のタクシーの運転手さんが挙げた話に戻りますが、10数年前に、漁業産業の一環として、この川の水源にあたる摩周湖にニジマスとウチダザリガニが放流されました。
元々この湖には魚類などは一切住んでいなかったという事です。
結果、マス類は殆ど定着しませんでしたが、ウチダザリガニは10数年で広範囲に生息するに至り、そのため湖のプランクトンの生息状況が変わって透明度を大きく喪失する事になったのです。
ザリガニが住む以前は、「日本一の透明度」を誇る摩周湖でしたが、今では見る影も無いのだそうです。
この川は、「水源そのもの」が汚染されてしまっている例なのだと、その時僕は思いました。
この日、この川で走る魚影を見たのは、大型のニジマスと遡上したカラフトマス2尾のみ。
釣れたのはこのヤマベ(と、呼ばせてください)のみ。
とにかく、非常にゲンナリとして竿を畳み、キャンプ場へ戻りました。
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釣果も、そして、川も、悲しくなるものでした。
キャンプ場では早々に夕食を済ませ、ウイスキーを片手に日が暮れるのを待ちます。
そして空には、天の川が瞬いていました。
こんにちは。
返信削除梅花藻の揺れる西別川での釣りの動画をyoutubeで見ました。
その状態から激変してるんですね。
砂で埋まった川があちこちで見られますが悲しいです。
release-windknotさん
返信削除コメント遅れてすみません。
ここ数年、ほんと酷いみたいですよ。
車があれば、YouTubeで見れるような秘境もあるんでしょうが、今回は見つけられませんでした。
砂で埋まった川を見るのはほんと悲しいです。