2012年11月28日水曜日

フェリックス・ヴァンケルの夢


1902年、ドイツ・シュヴァーヘンで生まれたフェリックス・ヴァンケル

彼が17歳の時に見た、夢の話です。


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それはタービンと従来の往復エンジンを組み合わせたような、見た事も無い、奇妙なエンジンの夢だった。シンプルな三角形の金属が、楕円形の燃焼室でくるりくるりと転がりながら動くのだ。
その奇妙なエンジンを積んだ“真っ赤なスポーツカー”で、私は誇らしげにコンサート会場へ駆けつけたのだ。
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彼は17歳の時に見た夢を追いかけ、当時世界的に有名だったバイクメーカーのNSU社へ、その“夢のエンジン”の共同開発を申し入れたのです。その時、彼は49歳でした。

その後、彼が発明したヴァンケルエンジン(ロータリーエンジン)は、NSUから世界中の企業によって研究され、日本の東洋工業(現マツダ)によって行われた大幅な改良、研究によりついに、自動車用エンジンとして実用化されました。


ヴァンケル技師の強烈な「夢」への執着と、マツダのエンジニアによって、ついにヴァンケルが見たスポーツカーが現実のものとなったのです。



 ・・・しかし、ロータリーエンジンの研究を続けるメーカーは一社...一社...と姿を消し、
ついには自動車用エンジンとしての開発は、マツダ一社のみとなってゆきました。



ですが、たった一社だけで続けた研究開発により、1991年、マツダは「世界で唯一の」ロータリーエンジンでル・マンの24時間レースを総合優勝します。これは2012年現在においても、日本メーカー唯一の勝利記録であり、世界史上においてもレシプロエンジン以外が表彰台に立った、唯一の記録となるのです。
ロータリーエンジンの可能性が証明された瞬間でした。


・・・今回のエントリーは、「音楽」のカテゴリーですヨ。






時代の流れに揉まれ、燃えては消え、消えては燃えるマツダのロータリーの炎も、2012年とうとう最終型RX-8を持って“一旦の”区切りを迎える事になりました。


しかし、今年2012年、ル・マン24時間レースではこれまた世界で初めて、アウディの「ディーゼルハイブリッド」が表彰台に立ちました。 (トヨタはガソリンハイブリッドで善戦しましたね)
既存のレシプロエンジンの延長線上ではありますが、これはモータリゼーションにとって新しい一歩と言えるでしょう。


マツダはロータリーエンジンで培った技術で、超高圧縮のガソリンエンジンと超低圧縮ディーゼルを使ったSKY ACTIVEを実現させました。今後、この技術を使ってモータースポーツへも参戦していくようです。
今後マツダのディーゼルエンジンが、ル・マン24のような世界で活躍してくれる事を願うばかりです。





ヴァンケルが夢見たスポーツカーは、既に現れたのだろうか・・・。
                            それとも、これから・・・?
    

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