11:30分 疲労と、毛鉤のロストにより退渓を決め込みましたが、
ここで地図を読み間違ってしまい、冷や汗をかく事に。
前回の記事、最後の滝を撮影した足場から見下ろすナメ滝4m。
この時、移動に7時間+ここまで来るのに4時間弱ほどかかった疲労の為か?毛鉤を沢山ロストしてしまったストレスか?
退渓路がある目的の滝と、この滝とを間違えてしまったのです。
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事前の準備段階でおおよそのルートを絞る際に、大きな滝の辺りに巻き道がある事を調べていました。
退渓ポイントと決めていた滝は2段25m以上もある大きなものらしい、という事はざっくりと理解していたのですが、この時遭遇した滝が10mほどもあった事、地形図にそのような滝の存在が書かれていなかった為に、てっきりこの場所が退渓ポイントだと間違えてしまったのです。
10mほどはある、名無し滝 |
また、恥ずかしいハナシですが、川で軽くコケた際に地図をドップリと水に濡らしてしまい、触るとポロポロと紙が崩れてしまう状態になっていました。
濡れた地図が使えなくなってしまうのを心配して、地図の確認を適当にあしらっていたのです。
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・・・という訳で、自分の不注意と勘違いにより退渓の巻き道を見失い、疲れて朦朧とした?頭で、適当に地図とコンパスを見てから手近なザレ場を延々と「おかしいなァ・・」と思いながら登ってしまったのです。
オカシイ。
これはオカシイ。。。
山というのは皆さんご存じと思いますが、登るのは簡単でも、降りるのは非常にスキルのいる行為。最初はどうってことの無い傾斜も上に行くほどキツくなり、「おや?巻きの登山道が見あたらないぞ?」とか思い始めた頃にはあとの祭り。。既に自力で川へ下りるにはかなり厳しい状況となっていました。
この時点で、川は遥か下にあり、水の流れを見る事の出来ない状況となってしまいました。
角度70度以上はあったと思いますが、延々と斜面を登り、高度にして100mは登ったところで小尾根に到着。
既に川はおろか、水の音もほとんど聞こえなくなってきました。
いい加減ヤバイかも、と思いながら到着したその場所は・・・
小尾根の先端の、広さは畳1~2枚分ほどの広さの高台。
背面には更に高度を上げる壁が、他3面は、どうみても崖といっていいくらいに見下ろす急斜面。
まるで山の中に建てられた、展望台のような場所だったのです。
藪が生い茂り、木の根が這いずりまわり、何処にも路のような所はありません。
下を見下ろすと、気が遠くなるような高さ。
・・・これはどう考えても道じゃないナ。。。
ちょっとそこのオネエさん、どっから登って来たの。 |
帰りは楽勝だと決め込んでいたので、15Lのアタックザックに入る分の荷物しか持ってきていなかったのです。重荷になる「水」も無いし、携行食はさっき川で食べてしまったし、エマージェンシー装備も置いてきてしまいました。
持っているのは、釣り具とナイフ、 コッヘル類(スープとコーヒー)、ビショビショの地図、コンパス、ライター、ボールペン&手帳、虫よけ、カメラくらい。。。
そうこうしているうちに、現実的な事を考え始めてしまい、冷や汗がタラタラ。
破れてボロボロの地図をポケットから「そうっと」取り出し、コンパスとにらめっこ。
取敢えず帰路は東?いや、北東から北東北あたりのはず。今いる尾根は南に向かって伸びているから、一度南に向かって、もうひと登りしてから、尾根伝いに北東へ向かって歩けばいいのか?
目的の登山道も、尾根伝いを歩いていれば何処かにあるはず?
「なにくそー!嵐ー!」「なにくそー!こーどくー!」
「魚がウインクするよーなー、そーんな男になーりたーいぞー!」
by釣りキチ三平
・・・などと歌いながら、藪と木の根をかき分けてズンズン進みます。
ラピュタ城におけるムスカ的心境?
・・・バッキバキと藪を掻き分け、道なき道をがむしゃらに掻き分けて行きます。
木の根っこを頼りに崖をトレースしながら、とにかく尾根を見失わないように高度を上げたり下げたりしながら四つん這いに這いずりまわり。
時折、ポケットからインクが滲んでボロボロの地図を取り出したりして。
「ああ、このままここで陽が落ちてしまったら、きっと寒いんだろうなぁ・・・」
そのうち、ふと気付くと、辺りにシカの糞が点々と落ちている場所に。
丁度、道?と思しき場所には糞があり、それが点々と道しるべのようになっているのです。
数メートルおきにころがっているシカの糞、うん?これはケモノ道だろうか・・。
そして、そんなケモノ道(?)のような場所をしばらく辿っていると、赤いテープが枝に巻きつけてある・・・・・・!
・・・!これは!
登山道に到着!
あったぁ~!あったぞぉー! byムスカ
(しかしこの登山道もクセモノで、年間数パーティーしか通らないんじゃないの?という程荒れ果てていた・・・汗)
プチ遭難してから、なんとかここまで1時間30分ほどで辿り着く事が出来ました。
深い山の中で、とにかく人の気配を見つける事が出来たのがたまらなく嬉しかった。荒れ果てた登山道を、時折コンパスで確認しながらゆっくりと、ゆっくりと下る山道、何処かの誰かが巻き付けてくれた、赤いリボンがどれ程有難かった事か。
テン場に戻ってから、ビールと枝豆で乾杯(嬉)
・・・その後性懲りもなく(笑) 少しだけテン場周辺で竿を出しますが、魚が全く出てきません。
このパターンは別の川でも経験しているぞ、、これはたしか・・・。
思い当たるフシがあったので、そそくさと撤収。
納竿後1時間ほど、バケツをひっくり返したようなお天気雨が。
イワナさん、教えてくれて有難う!
その雨は凄まじい雷鳴を轟かせ、次第に空を灰色に染め上げながら、数時間ほど続いていました。
今回の釣行は、何処かで一つ、何かが間違っていただけで、最悪の事態も想定できるものでした。
ですが、想定外というのは絶対にあってはならない事。
トラブルに陥ってしまっても、常にパターンを想定しながら最良へ向かって努力する、良いトレーニングとなりました。
また、山や川については獣やサカナ達の方が遥かに多くの事を知っています。
彼等の行動に学び、耳を傾ける事の大切さも、身に沁みて感じた一日でございました。
こんばんは。
返信削除無事に下山できて何よりです。
文章と写真からどちらの沢に入られたかは分かりました。
あの10m滝にも名前があり、ずいぶん前に私もそこから登山道にエスケープした事があります。
道はありませんが、20分ほどの急登で道にたどり着きました。
おそらく、登山道と並行するように登ってしまわれたのではないかと思います。
秩父の沢沿いには釣り人と沢屋さんがつけた踏み跡が要所要所につけられていますが、最近は鹿が増えて鹿道が交錯してるので分かりにくくなってきています。
地形図もあまり頼りになりませんし、単独で知らない沢に入るのは止めた方が良いかも知れませんね。
jickyさんお早うございます
返信削除知ってる人なら分かるだろうと思ってました(笑)
濡れた地図を気遣ったり、冷静を装ってたので思いの外時間がかかったのかもしれません。
いつかまた行こうと思っています。
それより、あそこスレてますねえ(汗笑
こんばんは。
返信削除ご無事で何よりです。
かなりハードな釣行ですが、あこがれる釣りです。
ボ・ロバンさん
返信削除返事遅れてすみません(汗)
一人の釣りは、やっぱり自由なのが良いですね。
折角なので、いい釣りしたいと思い、小さな旅に出てみました。
釣果は少し淋しかったですが、楽しかったです(笑)
沢も遠い尾根でのカエル遭遇、僕もありました。
返信削除ハイドレーションのコックが欠落していたのに気付かずに、メインの飲料水をロスト。
ツヤツヤのカエル様に、何処で潤ってるんですかと。
お疲れ様でした。
ご無沙汰してます。
返信削除無事帰還、これが何よりですね。
釣りに行くと人の気配がすると気持ちが落ちるのですが、このようなときはホッとしますよね。
一人釣行、私も大好きです。気が向いたときにふらっと出かける。この上ない時間。
犬さん今晩は
返信削除カエル、本当にずいぶん高い所にいました。随分水から遠い所で暮らしているんですね。
ほんと、何処で潤ってるんでしょうか・・。
水の貴重さは、山に行くと良く判りますよね。。湧水見るとホント日本人でよかったと(笑)
自転人さん今晩は
無事帰還です。自宅に帰るまでが遠足とはよく言ったものですね(笑)
一人の空気が、いいんですよねぇ。自然と、より強い関係を感じる事ができます。
ご無沙汰だなんて。 こちらこそいつも拝見させていただいております。
命がけの釣行ですね。
返信削除あまりそう言う釣りはしたことありませんが、
テント張ってキャンプしながらの釣りは大好きです。
郡司さんこんばんは
返信削除命がけといってしまうと、本当に凄い経験した人にハナで笑われちゃいそうですけど(笑)
アドレナリンでまくりだったのは間違いありません。
僕も、今年からテント張っての魚釣りに目覚めました。
行きたい所はいっぱいあるけど、なかなか、ね。