2012年8月4日土曜日
一式陸上攻撃機を見に
毎年8月1日~31日までのみ公開されている、河口湖自動車博物館の飛行館へ行きました。
此処に訪れるのは2度目です。
以前の見物は零式艦上戦闘機のレストアと、今回の目的、一式陸攻のレストアが始まった頃でした。
この博物館はデジカメ撮影禁止。
ですが携帯電話での撮影はOKなので、iPhoneで納めた写真とともに、記事を綴りたいと思います。
一式陸攻は中国本土~太平洋戦線を活躍した日本の双発攻撃機/爆撃機です。イギリスの最強戦艦プリンス・オブ・ウェールズを沈め、山本五十六の最後と共にし、終戦間際にはロケット特攻兵器「桜花」の母艦となった機体です。
この博物館でレストアされる前までは、現存するものはアメリカのブレーンズ・オブ・フェイム航空博物館に1機、バラバラの状態で保管(放置?)されているのみという、とても貴重な機体なのです。
それを、ここ河口湖自動車博物館が胴体後部を元にレストアを行っているのです。
ご覧のように現在はボディシャーシの殆どが復元され、加えて主翼と水平尾翼がレストアされれば、航空機としての外観は殆どがレストアされた事になります。
あとは金星エンジンと、ガスタンク、秋葉原あたりで手に入るパーツで飛ばす事が出来そうな勢いです。
2トン以上もある特攻兵器「桜花」を牽引するキャパシティーがある航空機。
写真じゃわかりにくいですが、とてもデカい。 この飛行機、後部の日ノ丸部分にハッチがあり、そこから乗り込む構造になっています。 嫁と二人、そんなデザインに「センスあるよね」と言いあっていました。(えらそうに!)
※しかし、「ワンショットライター」の異名もあるこの一式陸攻。
戦時において乗りこむ搭乗員の気持ちを想像すると心が痛みます。
防弾装備の薄さは日本航空機の共通弱点です。
※注)実際には12型以降、防弾装備の強化と速度アップが計られ、米軍側報告では決して落としやすい飛行機で無かったようです。
ワンショットライターという語呂の良さで、このような認識が一部のファンに広まったようです。
それとこの博物館で忘れてはいけないのが、零式艦上戦闘機・通称ゼロ戦です。
現在世界でレストア保存されたものは30数機。
ここ河口湖自動車博物館は完成品3機、最後の写真の制作中も含めて4機を保有しています。
そして凄いのが、この博物館では「実働状態」の「栄エンジン」があるのです。(写真は違う物)
エンジン・シャーシがOKであれば、その気になれば飛ばせる事を意味しています。これは日本で唯一、そして世界でもたった2機しかないという事を意味しています。
是非実現してほしいものです!
他にも航空産業の黎明期における貴重な展示がありますが、こうやってみるとやはり零戦に目がいってしまいます。零戦と、戦艦大和はやはり日本人にとって感慨深いものがあります。特に零戦は日本人らしい発想の塊であり、限られた時間と無茶な要求をいかに性能に結び付けるか、そこにアイデンティティを見出したエンジニアの思想は、今でも引き継がれています。その後の国産自動車でも、同じようなコンセプトのものが沢山ありますよね。 そして、同じように時代に沙汰される(笑)
そして、やはりそんな航空機の翼に描かれた朱色の「日ノ丸」を見て、込み上げてくるものを思うに、「日本人で本当に良かった」と思えてなりません。
余談ですが、自分の祖父は海軍出であり、父親は航空機の整備士をしていました。
叶わぬ夢ではありますが、父や祖父とこのような事に付いて、語り合いたかったと思います。
そして、もうひとつこの博物館で僕が楽しみにしていたものに、このエンジンがあります。
V型12気筒・スーパーチャージャー搭載のメルセデス「DB601A」ライセンスコピー「アツタエンジン」。陸軍では「ハ40」と呼ばれていたものです。
当時の国産技術では加工精度・製造ライン・レアメタルの要求などにおいてどうしようもなかったエンジンですが、このエンジンと3式戦「飛燕」は僕が最も好きな組み合わせです。
機体設計・エンジンの要求度において当時の国産技術では持てあますものでしたが、
この経験から戦後、自動車大国となった日本の基礎工業力において大きな貢献を果たしたと、僕は考えています。
たかが70年前・されど70年前。
時代の波は、案外小さくて近いものなのかもしれません。
・・・続く。
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